お楽しみいただきたいのは、「ガーデンのある暮らし」です。

『南風ガーデン』は小説家で詩人の郷原茂樹が、季節を楽しむためにつくったプライベートガーデンです。

ここは観光地ではありません。季節の移ろう風景と花や果物などを愛でながら、何もない、何もしなくてもよい、そんな賛沢にひたり、のんびりと過ごすための場所です。

日本の大いなる隅っこ~大隅半島~に創作の拠点をおく茂樹は、 1990 年、地元の古老に頼まれてボンタン園を買い求めました。その後、周辺にハーブ苑を開き、友人が訪れる度に桜の木を植えてもらったり、家族や社員たちといっしょにツツジやサツキ、ムクゲ、 アジサイなどの花々を挿し木で増やし、またさまざまなフルーツを植えてきました。

これまでに親しい人たちを招き、花祭りやスイカ割り大会、ボンタン狩りなどを開いて、めぐる季節を楽しんできました。

2018年、大隅半島農林文化村が発足し、南風ガーデンはその管理下になり、一般の方にも開放することになりました。このためいろいろな人たちが少しずつ訪ねて下さっています。

また2019年、クルーズ船の海外観光客を迎えるために、ガーデン内の各場所に日本語はもとより、英語、中国語、韓国語の説明板を設置しました。

南風ガーデンINFOMATION

ハーブ苑

2018 年5月、 ここは日本ハーブサミットの会場となり、全国から多くのハーブ愛好者が集まりました。

これよりおよそ25年前に造成され、徐々に拡充してきたハーブ苑です。ここにしかないオースミハッカをはじめ、各種のミント、ローゼル、レモンマリーゴールドなど、さまざまなハーブを無農薬で、有機栽培しています。

隣接するガーデンハウスでは、これらのハーブを朝摘みして店舗に並べ、お客様が自分でティをいれて楽しむ『ガーデン遊び』を準備しております。

また各種のハーブはデザートやスイーツ、ドリンク、そしてカレーなどの素材として活用しています。

花のプロムナード

南風ガーデンにはいろいろな花々が、四季を通して咲き薫っています。

季節ごとに咲く花々

紅梅、白梅 1月~2月
菜の花 1月~3月
ヒメシャリンバイ 3月~4月
桜(200本) 3月下旬~4月上旬
ツツジ(800本) 4月
オガタマ 4月
イッペイ 4月
ジャカランタ 5月
ボンタンの花 5月
ヒメシャラ 5月
アジサイ(1000本) 5月~6月
ムクゲ(3000本) 8月~11月
夜香木 7月~8月
ハイビスカス 7月~10月
コスモス 10月~11月
ツワの花 11月~2月
サザンカ 12月~1月

レモンマリーゴールド 1月~4月
ラベンダーセージ 5月/9月~11月
パイナップルセージ 3月下旬~4月上旬
ローゼル 8月~10月

ボンタン園

ボンタンとは南国独特のミカンで、その果実の大きさがバレーボールほどあり、ミカンの王様といわれます。

果皮が分厚いのが特長ですが、 これもグラッセなどに加工すればおいしく、果肉はぽろぽろとして甘い風味をたたえています。

ここのボンタン園は地元の松園義則さん(現在、100歳)が三十代のころに造成したもので、無農薬、有機栽培を貫いてきていました。

1990年に松園さんからここを引きついだ後、わが社は無農薬、有機栽培で今日もなおボンタン園を守り続けています。

ボンタンが実る早春には松園さんを迎えて、収穫まつりを開きます。そしてボンタンは《オースミ・レーヌ》 などのデザートやスィーツの素材となっています。

また、松園さんはボンタンのほかに、サワーポメロ、紅甘夏、日向夏、河内晩柑などの柑橘類をたくさん植えていました。わが社ではそれらも今、大切に育てています。 そして、デザートやスイーツなどの素材として活用しています。

ボンタン園で松園さんに感謝する記念植樹をしてもらいました。次の春から紅桃の花が咲いています。

取っておきのスポット

《恋占いの石》大人気!

恋が芽生えるように、恋がうまくゆきますように。

………占うことができる、大人気のスポット。

南風ガーデンの奥まった場所に、二つのやや大きめの石があります。 目隠しをして、一方の石からもう一方の石に、七歩でたどりつけたら、ラッキーセブン、すべては0Kです。

最近、噂を聞いて来訪される人が増えています。とりわけ、錦江湾に寄港するクルーズ船の観光客が、 ここを訪れて「ハッピー、ハッピー」 と笑顔で拍手されたりしています。

《健康のご神木》秘密のパワースポット

南風ガーデンは各種ハーブなど、健康をテーマにする植物を豊富に栽培しています。 ここで澄み切った空気を胸いっぱいに吸収するだけでも、元気な気分になれることでしょう。

そんなガーデンの主とも言えるのが、樹齢100年のケセンの木(ニッケの木)です。恋占いの石のすぐ近くにあります。

昔からケセンの葉は郷土菓子の防腐用に活かされており、また健康機能成分をもつ素材として海外にも輸出されていました。

樹齢100年といわれるこの木は、幹が苔むして神秘的な雰囲気に包まれています。 その前に赤い鳥居が立っており、地元の人たちは『健康』を願って拝みに来ていたと言われています。 最近は、隠れたパワースポットとしてお訪ね下さる人もいます。

《友情の桜の並木》

春に咲き薫る200本あまりの桜は、親しい人たちがガーデンを訪れた記念に植えました。入口のアーチのある場では花を見下ろし、坂の下では花を見上げる、いろんな角度で満開の桜を楽しめます。

一番最初に咲くのは、種子島の奈尾正友氏が寄贈して下さった10本の白い桜です。

《フランス友好記念の桜園》

2016年、フランスからMOF(国家最優秀職人)のグラシエ・D・ヴェスマエル氏と世界的なマロン会社のサバトン夫妻が来社されました。

南風ガーデンの素材を活かしたデザートやスィーツの創作をアドバイスするのが来社の目的でした。その交誼を忘れないために桜の木を植えてもらいました。

《東アジア友好記念の桜園》

中国、韓国のカラー芋関係者と10数年にわたる交流が続いており、その中で来訪された人々に記念の桜を植樹してもらいました。

花に戯れる蝶々や蜂

《ツマべニ蝶》

白い羽の蝶で、その羽の隅に紅色の模様があります。亜熱帯に生息しており、その北限は大隅半島最南端の佐多岬というのが定説でした。 佐多岬からおよそ50 キロも北方にある南風ガーデンに、 ツマべニ蝶を招こうと、この蝶の好むハイビスカスや魚木などを植栽して待つこと十年、 ついに2015年10月6日、その優雅な姿を現しました。それから毎年、春から晩秋にかけて飛来しますが、花の蜜などを吸うのは一瞬で、 たえず素早いスピードてやや高い上空を飛び回ります。その姿に気づかない場合が多いのが、 ちょつと残念です。

南風ガーデンなど大隅半島農林文化村の傘下企業は、 ツマべニ蝶とハイビスカスのイラストをロゴマークとしています。

《ブルービー》

青い模様の入った花蜂。……このブルービーが、南風ガーデンでは春から夏にかけて楽しげに群れ飛んでいます。

もともとブルービーは日本の広範囲に繁殖していたのですが、環境の汚染や破壊に敏感なため、 今ではほとんど目にできない希少な絶滅危慎種となっています。 南風ガーデンのハーブ苑に群れ飛んでいるのは、農薬を使わないなどのクリーンな環境ゆえのことでしょう。

ブルービーは自分の巣を作らず、他の蜂の巣に卵を産んで、子育てもしない、鳥のカッコウと同じ生態をもっています。 それ故に、ブルービーのいるところには、他の蜂もたくさんいるのです。つまり南風ガーデンは花蜂たちの天国と言えるわけです。

国の天然記念物のサツマ鶏/純粋種のトカラ山羊

南風ガーデンでは国定天然記念物のサツマ鶏と純粋種の桂チャボやトカラ山羊を飼育しています。 とても珍しくて貴重な存在のそれを紹介するとともに、その種を守ることに寄与したいという意図によるものです。

《サツマ鶏》

武の国といわれた薩摩藩で、戦うために品種改良された鶏です。日本古来の 『小国』 とタイの『シャモ』を交配させたもので、 雄はがっしりと肩幅が広くて、眼光が鋭く、荒い気性をしています。羽の色で赤笹、白笹、太白、漆黒という系統があります。

昔は闘鶏がさかんに行われていましたが、今は鑑賞用として保存会が結成され、その美しさを競う品評会なども開かれています。

南風ガーデンでは赤笹と白笹が飼育されています。

《桂チャボ》

2019年6月、沖永良部島の知名町議員・宗村勝氏が寄贈して下さいました。ご夫人とともに航空便で2ツガイのチャボをダンボール箱に入れて持って来られました。

宗村氏によると、これは四国の土佐(高知県)の原産で、純生の希少品種だそうです。

ここに移住して来て、梅雨期の豪雨のさなかにもメスは卵を抱きつづけ、7月15日、9羽のヒナが生まれました。また別のメスも卵を抱き、9羽のヒナが生まれました。

《トカラ山羊》

トカラ列島(屋久島と奄美大島の間にある島々)を原産地とする小型の山羊です。 トカラ列島を離れた同種の山羊は、他品種と交配して雑種化が進んでいます。純粋種のものはとても少なく、トカラ列島外では鹿児島大学、 平川動物園(鹿児島市)、農林水産省家畜改良センター長野牧場など、限られた場所で飼育されています。

南風ガーデンのトカラ山羊は、鹿児島大学の研究室から2019年3月22日に譲ってもらいました。

《野性のサルやウサギなども》

南風ガーデンにはときおり野性のサルが現れます。周辺の森を回遊しており、群れをつくり、春には子供を連れています。 ボンタンをちぎって食べたり、 いろいろと問題はありますが、人とはちゃんと距離をおいて悠々と暮らしています。

また野性のウサギも子連れで姿を見せたり、タヌキなども夜は出没しています。

野鳥やセミの大コーラス

《野鳥の天国》

森に囲まれた円形上の南風ガーデンでは、 四方の森で鳴く四季の野鳥のさえずりを楽しめます。 他所から訪ねてきた友人が、「大隅の野鳥は元気だ」と感動してくれます。

梅や椿の花の蜜を吸いに来るメジロの鈴を振るような歌声、遠く山びこを呼ぶホトトギスの渡り、 上空を悠々と飛んで時に鶏のひなを襲うトビ、子育てに軒端を借りに来るツバメなど、野鳥たちは季節の移ろいを教えてくれます。

《セミたちの大コーラス》

ある日、突然、まるで森の奥から戦車の大群が押し寄せてくるような音が聞こえます。春セミの大コーラスが始まったのです。 晩夏のツクツクボウシの鳴き声も、森という森にこだまし、どこか寂しげな郷愁を誘います。

秋の夜、 スズムシやコウロギ、 クワガタムシなどの歌も天空に翻るように聞こえてきます。